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 第8回 滑川の橋をたどってみたら (後編)

 ♪更け行く秋の夜 旅の空の〜 秋もすっかり深まりましたなぁ。
  さて、由比ヶ浜の河口から出発して滑川に架かる14番目の橋「歌の橋」から後編は始まります。 

前回の(前編)から早くも2ヶ月が経とうとしております。 この橋めぐりの取材を始めたのが7月の末でしたからここに載っている写真は8,9,10、11月の4ヶ月に渡っての写真でどうも季節感がばらばらな感が無きにしもあらずですがご容赦ください。 ここからは朝比奈に向かう金沢街道に沿って滑川は流れておりますので橋はとても分かりやすくて助かります。

 14.歌の橋 (うたのはし) 
   金沢街道に架かるこの橋は“鎌倉十橋”の一つです。
   正確には滑川に注ぐ二階堂川に架かっている橋です。
   昔、渋川兼守が謀反の罪で誅されようとした時その悲し
   みを和歌に託して奉納したのを、歌人として優れた実朝
   がその和歌の秀逸に免じて罪を赦したと言われます。

 
 15.犬懸橋
 (いぬかけばし) 
   この橋は鎌倉最古のお寺であり坂東三十三観音の第
   一番札所で有名な杉本観音のすぐ向かいに架かってま
   す。この橋を渡ってゆるい上り坂の道(写真右)を行くと
   前回大御堂橋でご紹介した「田楽辻子の道」に出ます。
   「釈迦堂切通し」や「衣張山」へはこちらからまいります。

 16.廣瀬橋 (ひろせばし)
   橋を渡ったすぐ右に八百屋さんがあり、左には「竹治」
   と云うおいしいお弁当屋さんがあります。この間の道を
   真っ直ぐ行くとやはり田楽辻子の道」に出ます。この
   道は「大御堂橋」から次の「華の橋」までの間を滑川を
   挟んで金沢街道に平行して通る鎌倉屈指の散歩道。
   


 17.華の橋 (はなのはし)
   この橋を渡るとイタリア料理の店や雲水料理の「左阿
   彌」などとてもおいしい食事処があり、そして竹の寺で
   有名な「報国寺」があります。また更に奥へ進むと元華
   族のお屋敷「旧華頂の宮」邸(昭和4年築)もあり、また
   橋と反対の方に鎌倉五山の一つ浄妙寺があります。

 18.青砥橋 (あおとばし)
   滑川といえば、青砥藤綱の「川に落とした十文の金を
   松明代を五十文かけて探させた。」物語が有名ですな。
   その藤綱のいた屋敷跡がこの辺りだそうであります。
   それとご近所の主婦の方々で経営する季節のお弁当で
   知られる「「青砥」はこのすぐ近くにあるのです。


 19.虹の橋
 (にじのはし)
   青砥橋から300m程行くと右手に「鎌倉泉水教会」
   の大きな看板が見えてきます。この教会前に架かる
   橋が「虹の橋」です。 この辺一帯は室町時代の関東
   管領の足利氏の住んでいたところで、足利公方屋敷
   跡と呼ばれています。 

 20.西泉水橋 (にしせんすいばし)
   この橋は滑川が金沢街道からちょっと右手に回り込むよ
   うに流れを変えたその先に架かっております。この橋を
   渡って虹の橋からの道を更に奥へ進んだ所が泉ヶ谷で
   昔は美しい水がこんこんと湧き出ていたそうです。ここに
   は東京・芝愛宕町・青芝寺の末寺「松久寺」があります。


 21.泉水橋 (せんすいばし)
   さて、右に回り込んだ滑川はさきの西泉水橋の下を流
   れて今度は左手にまわり込み金沢街道に架かるこの
   泉水橋の下を流れて、ここから金沢街道の左手に流れ
   を変えます。 この橋から二つ先の「明石橋」までは街
   道の左側を流れる事になるのです。  

 22.二ツ橋 (ふたつばし)
   泉水橋を越えて程なく行くと、金沢街道(新道)から左手
   に旧道が見えてきます。 この旧道を下ると「二ツ橋」が
   あります。 この橋までくると前方に京都の仁和寺の末
   寺である「明王院」が見えてきます。(写真右)
   柿の実のなる季節、このお寺の風情は最高です!

 

 23.明石橋 (あかしばし)
   「二ツ橋」からこの橋までの間には金沢街道と滑川に
   挟まれた細長い公園がありちょっと一休みに最適です。
   川はこの橋の下を流れて再び街道の右側に移ります。
   このT字交差点を右に行くと逗子へ通じる桜の並木道
   でお花見の頃には豪華な“桜のトンネル”となります。

 24.光触寺橋(こうそくじばし)
   「十二所」(じゅうにそ)のバス停から右手に旧道を進
   むと金色の文字が美しい「光触寺橋」がありその先に
   「塩嘗め地蔵」で有名な光触寺の山門が見えます。
   このお寺では春夏秋冬、四季折々の花が楽しめます
   が、特に5月半場からの花菖蒲はお薦めであります。
   

25.もりとばし
   この橋も金沢街道からちょっと右に入った所にあり
   分かり難いのですが、ハワイアン・ショップ「RAHOA」
   の横を右に曲がればすぐです。 この橋の先から滑川
   に沿った遊歩道を行くと左手の森下に十二所神社、
   右手に朝比奈切通しへの旧道入り口が見えてきます。

   

 26.いずみばし
   さて、この橋が今回の“滑川の橋めぐり”最後となる
   第26番目の橋であります。 この橋の下で川は「朝比
   奈の切通し」方面と「鎌倉霊園方面」の二つに岐れます。
   (写真右) 朝比奈切通しへの旧道の左手を滑川が露
   出した岩盤の上を心地よいせせらぎを響かせながら流
   れております。この旧道を登って行くと、切り通しに達す
   る少し手前で流れの対岸に岸壁を切り開いた中に小さな
   祠が見えそこからきれいな水が流れ落ちております。 これが「梶原太刀洗いの水」と呼ばれる湧き水の滝でこれが
   滑川の源泉なのであります。 この「太刀洗いの水」から少し進むと、正面に朝比奈切り通しの碑が立ち、右の道は七
   曲りの谷へ通じ、その谷間に果樹園があります。   

岩盤の上を流れる滑川の源流 太刀洗いの水(水に打たれる人あり) 秋の陽を浴びた果樹園
   
   さて、如何でしたでしょうか? 滑川の源流にようやくたどり着きました。 由比ヶ浜の河
由比ヶ浜の河口
口に架かる「海岸橋」をスター
   トしてからなんと4ヶ月の長い旅でした。
 実際にはこの滑川の行程は自転車にでも乗
   れ
ば1日でも充分に回れるのですが、やはりのんびりと秋の日差しを浴びながら、いや
   春の日差しでもいいんですがとにかく歩いてまわるのがよろしいようですな。 
   鎌倉の紅葉は12月の初旬までは楽しめます。  どうぞお出かけください。

                                        ではまた・・・  (02.11.24)

                                          
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