前回の“鎌倉おもいつ記”へ

 第2回 「映画館」のアライさん。

桃の節句の三月三日です。当「鎌倉キネマ堂」がオープンして丁度一ヶ月たちました。

  “ごあいさつ”でも申し上げた通り杉並北尾堂のトロさんのサイトでご紹介を頂いたお陰でオープンして
 間もないのに10名もの方からご注文を頂き誠に有難うございました。

  当店のオープンの日に関しては、新世紀2001年2月3日のイチ・ニ・サンの単なるゴロ合わせで決
 めてしまい、まだ充分に準備が出来ていないのにアップロードしてしまったんですからこんなに早くご注
 文を頂けるとは思いもよらず、会社を半休して郵便局に口座を開きに行ったり、家内に発送用の梱包
 材を探しに行かせたり、小学生の娘を押入れの中に潜り込ませて注文の本を探させたりと、もう家族そ
 ろって大騒ぎ! 嬉しい誤算の「ビックリしたなも〜ぉ」です。
  トロさんとお客様は神様です!今後ともよろしくお願いします。

 そんなこんなをしていた2月の第4金曜日の事です。 新橋で一杯呑んで20時35分の湘南ライナー
 で鎌倉に着いたのが21時24分。(推理小説じゃないんだからこんな時間なんてどうでもいいんです。 
 スイマセン!)鎌倉駅のプラットフォームの逗子に向かって進行方向最後部から2両目あたりから見た
 右手に見える(分かるかなぁ〜)「映画館」と書かれた看板が、わたしが毎週金曜日には欠かさず立ち
 寄る映画好きのマスターがやってる
Cffee&Whiskyの店なのです。 まあこの店がわたしの当地におけ
 る心のよりどころと申しましょうか唯一クダ捲ける、いや、くつろげる場です。
ここのマスター、アライさん
 が実にとってもいい人なんですよ。 何んでかは、もう少ししたら分かります。
 この店は、ナント ナント「映画館」と云うのです。 別に映画を上映しいるので
 はありません。 昼は喫茶店、でもお酒も呑めるよ。 夜はバー、でもコーヒー
 も飲めるよ。 と云ったお店なんです。 い〜でしよッ。
 そしてその名の通りアライさんの映画に関する知識の深さとその思いに、もう
 すっかり感心させられるお客さんが集まって来るお店でもある訳です。大体に
 おいて映画に詳しいとか、映画通とか、 はたまた映画青年とか云う輩は、
 やれビスコンティーだの、タルコフスキィーだのとやたらと難しい洋物(洋画ですょ)についてそ芸術性が
 どうのこうのと云いたがるもんですが、このアライさんはそこが違うんですな。 勿論そんな話なら一晩中
 でも付き合ってくれるんでしょうが、わたしが 裕次郎や赤木圭一郎それに中村錦之助の話をしたってち
 ゃんと応えてくれるんです。また詳しいんです。 だからもうどうしょうも無く嬉しくなってガンガン盛り上がっ
 てまたまた飲んじゃうんですが、アライさんも一緒に盛り上がってくれて、普段ジャズがかかってるのに
 三橋美智也をかけてくれちゃったりするんです。 ど〜です、凄いでしょう! まあそんな訳で金曜の晩の
 21時24分以降はわたしがいるから日本映画嫌いは行ってはいけない店なのです。 アライさん。ごめ
 ん!
 ところで、2月の第4金曜日の件ですが。 そうですこの日もそんな訳で盛り上がった後、なんと、
 なんとアライさんが「鎌倉キネマ堂の開店祝いだよ。」と三冊の本をくれたのです。
 わざわざご自宅の
 貴重な蔵書の中から映画関係の本を持って来てくれたのです。まあ、どうしましょう! わたしもまだ読
 んでなかった凄い本ばかりです。
(WHAT’S NEW三冊の本です。)「アライさんこの本ウチで売っていい
 の? わたしは売りたくないんだけどなぁ」と云うと「キネマ堂にあげたんだから好きにしていいよ」とアラ
 イさんは白い髭の口元をほころばせたのです。  鎌倉にはこんないい人、いい飲み屋?が有るんだ。と
 わたしはうるうるしながら家路につきました。 
  お陰さまでわたしの店の品揃えにグッと重みが増したのであります。

  2001年3月3日「鎌倉キネマ堂」は沢山のいい人達に恵まれ幸せ一杯です。
                             ア・リ・ガ・ト・ウ!!
                                            (01.03.03

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