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 第3回 お彼岸の中日に春を摘んできた。
                                             
 3月20日はお彼岸の中日です。 “暑さ寒さも彼岸まで”とはよく言ったものでぽかぽかと実に爽やかないい天気でした。 あんないい天気だともうジットしておれないのがわたしの性分。 午前10時半、ビデオカメラを腰に着け、朝飯もそこそこに家を出ると ホーホケキョ。鶯の鳴き声があちこちからしてもう春ウララそのもの。 10歳になる娘が「あたしも行く〜っ」とくっついて来ました。  
 梅林の白梅ももうかなり散ってしまい、ついこの間までやたら冷たかった“釈迦堂切り通し”を抜ける風もすっかり春です。  切り通しを抜け、下り坂になる材木座海岸へと続くこの道はわたしの散歩コースのベストワンなのです。 名越庵の竹林がさわさわ、夏には蛍が見られると云う小川の土手の上を猫がのんびり歩いている。 う〜む、そうか猫も春か。 などと妙に納得しシャッターを切ったのであります。 この道には季節季節でいろいろの花が咲くから楽しいんですな。 まだ春浅いので木々は葉をつけておらず、山は美しいとは云えませんが、もう花は咲き始めています。 白もくれんすみれ、それにこの花はなんと言うんでしょう。 透き通るような紫がかったピンク色がなんとも言えず綺麗なんです。(どなたかこの花の名前ご存知ありませんか?)

                 


それから、この道のもう一つの嬉しいところは、なんとも趣のある門構えの家があるというところですな。 今や都会では門構えのある家など殆んど無くなってしまいましたから、こうした素晴らしい“門”を見るとしばらく佇んで見とれてしまうのであります。 鎌倉には概して素敵な門構えの家が多いのでそのうち“門”特集でもやってみようかなぁ、なんて考えながらシャッターを切ったのでありました。
 この道と 国道134号 が交差する少し手前辺りにはついこの前まで昭和30年代を思わせる木造の家が同じ木造の塀に囲まれた形で並んでおり何ともいい感じの一角があったのですが「いつのまにか」と言うか、「あっという間」に分譲住宅がずらずらと建ってしまったのです。 こんないい雰囲気の一角があったんですよ、この写真を見てください。(‘98.7月25日撮影) まあしかし、よそ様の家のことをとやかく言うのもなんですからこの辺でグチはやめましょう。
 材木座海岸へ出て海でも撮ろうかと思ったのですが、空は春霞がかかっていて青空と云う状態じゃないので、これじゃ海が綺麗に青く撮れないのではと“海行き”をあっさり却下して八雲神社、ぼたもち寺の常永寺、妙本寺と連なる道を通って(ここも割と好きなコースでありますな。)本覚寺の境内を抜けて下馬交差点へと出たのです。

 江ノ電の踏切を渡って由比ガ浜通りの古本屋「公文堂」さんを覗いてみるとチョッと気になる本が有ったのですが、丁度持ち合わせが少々足らず買えないのです。 悔しいから中央図書館に行って娘とわたしで3冊借りて、2冊の予約をしたのであります。 この頃になると10歳小学4年生の娘はお腹が空いたの、のどが渇いたのとむずかり始めるのであります。
 小町通り入り口のサーティーワンでアイスクリームを買ってやり、わたしは壱番屋で焼き立てごませんべい80円を一枚買って二人で“こまブラ”をしたのです。(何だ?こまブラなんて云うか?)
 さて、小町通りを抜け鶴岡八幡宮に入ると流鏑馬通りではもう早咲きの桜が咲いておりその下では車座になって弁当を食べている花見客がいたりして、又しても「春だな〜ぁ」とシャッターを切ったのであります。
 アイスクリームを食い終えた10歳の娘は、「もう暑くて駄目ッ。」と又もやむずかり、「のどが渇いて死にそ〜ぉ」と、飲料水をねだるのです。 時間を見ると12時40分。もう家を出てから2時間以上もたっているからしょうがないかなぁ。と am-pmで飲み物を買ってやり家路に着いたのであります。  我が家の近くまで来てふと思い出したのが土筆のことです。 わたしは土筆がなんとも好きなものですから毎年八幡宮の近くの寿福寺へ採りに行くのですが、いつも採取時期を逃して採りそこねたり、大きくなり過ぎて使い物にならなかったりと、どうも間が悪いのです。 今年こそと思っていて又してもウッカリして「寿福寺に行くのを忘れた」と無念の思いに打ちひしがれんとしたその時であります。  ふと、家内が云っていた「うちの側の川の土手に、たしか土筆あったみたいよ。」の言葉を思い出したのです。 もう娘の事などすっかり忘れて一目散に我が家へ向かったのであります。 我が家のすぐ側を名もない小さな川が流れております。 その川までふうふう云ってたどり着きガードレールの上から小川を覗き込んでみると、どうでしょう、あるある、ピュンピュンと元気よく土筆が群生しておるではないですか。 いや、まさかこんな近くにわたしが毎年どうしても納得のいく形で採れなかった土筆があろうとは。 灯台下暗しでありますな、実にもう。 しかも丁度いい大きさで、いやチョッと大きくなり過ぎたかな、まあとにかく充分及第点をやれる状態で土筆は元気にしておったのです。
   
 そんな訳で我が家の近くでこの何と云いましょうか、春の象徴とでも云いたい土筆を採取し、家に帰りさっそく押し花にして出来上がったのがこの栞であります。 どうですか? 春らしくとってもいいと思うのですが。 実はわたしは土筆の栞を作るのが趣味でもあるんです。(う〜っ、恥ずかしや。)よろしかったらこのコーナーをご覧になった方にプレゼントしたいと思うのです。 土筆の栞が欲しいと云う方はメールを下さい。(ご住所を忘れずに)先着5名の方にお送りさせて頂きます。

   と言う事で「お彼岸の中日に春を摘んできた」の巻でした。   ではまた、、、
                                            (01.03.24)
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