前回の“鎌倉おもいつ記”へ
 第5回 「キネマ堂版 夏の花図鑑」でございます。

  鎌倉は本当にどこにでも花が咲いております。 前回は紫陽花を色々並べて見ましたが今回も木に咲いている豪華な花から道端の
 可憐な草花まで片っ端から夏の花々を撮りまくり“夏の花づくし”とまいります。しかし花は春と云いますが夏にもこんなに色々の花がこ
 の暑さにもめげず頑張って咲いているの
であります。 とにかくおもいつ記ですからブラブラ歩いていて「ああキレイだなぁ。」「おお懐か
 しいなぁ」「こんな花があったんだ!」などと目についた花をただ気ままに撮っていたらこれだけ集まったと言うわけであります。 わたくし
 が知らない花も沢山あり、植物図鑑をめくって名前を調べたり、わたくしの個人的思い出に浸ったりしながら出来上がったのがこのキネ
 マ堂版 夏の花図鑑
であります。花の事なんか何にも知りもしないのにこんな大胆なことをしていいんでしょうか。

ノウゼンカズラ
 なんと云ってもこの花はわたくしが鎌倉に来て初めて覚えた花であります。赤い花なんですが単なる赤ではなく朱色の微妙な色合いの混じった透明感のある赤なのであります。夏らしくそしてどことなく涼しげなこの花が咲くと、わたくしにとっての鎌倉の夏が始まるのです。
夾竹桃(キョウチクトウ)
 この花は鎌倉のお宅にはどこにでも咲いています。濃いビンクのものを良く見かけますが夏はこの白い方が清々しく涼しげでいいですな。朝出勤の折に、あるお宅のこの木の葉にセミの抜け殻が、しがみついていました。持って帰って大事に保管してあります。

百日紅(サルスベリ))
 この花も夏を代表する花でありますな。
これは安養院の山門に咲いています。実に豪華な枝ぶりで遠くの山を突き破って飛び出してきたような勢いがあります。白いのもありますが、この紫がかったビンク色が基本ですなこの花は。実に元気です。
芙蓉(フヨウ)
 どうも花だけ見るとタチアオイと間違えてしまうのでウチにある山渓ポケット図鑑で調べたらその筈であります。共にアオイ科フヨウ属となっているんですから。ハイビスカスの名で知られるブッソウゲ(仏桑花)やこの後に出てくるムクゲもこの仲間とか。

木槿(ムクゲ)
 この花は我が家の猫の額より狭い庭に面した、隣の庭に豪華に咲いていて、まるで家族同様の付き合いをしてもらっています。朝起きて食卓に着くと先ずこの花が二ッコリ微笑みかけてくるんです。「いやぁどうも。」と云いつつわたくしは朝飯を食べ始めます。
アカンサス
 何の花かなぁ?と思いつつチョット面白いので撮った花。ウチにあるポケット図鑑にこれらしい形をした花が載ってました。なんでもギリシャ建築の柱頭に飾られた彫刻はこの葉を図案化したものとか。もっと細かく見ときゃよかったなぁ。

白粉花(オシロイバナ)
 懐かしい夏の想い出の花であります。私がご幼少のみぎり、お姉さま方とままごとでこの花を絞って色水屋さんごっこをしたのです。お姉さん達はこの花の黒い実の中に入っいる白粉でお化粧をしていました。なんだかドキドキしました。
鳳仙花(ホウセンカ)
 そうです、この花もお姉さん方がおめかしに使っていました。花の色は桃、赤、紫、白と有りますが赤い花の汁で爪を染めるのです。「ボクも染めたい。」と云ったら「男の子はそんなことするもんじゃなくってよ。」と云われてとっても恥ずかしかったです。

菊の仲間でしょ?
 つつしまやかにこちらを見て
います。菊の仲間だと思うのですが、この時期に咲いていいのかなぁ。ウチのポケット図鑑でこれに近いのはフランスギクです。マーガレットに似ています。しかしキク科は仲間が多くて複雑ですな。
ナント云う花でしょう?
 ピンクの可愛らしい清楚な花
です。ウチの図鑑の「夏の花編
」に出てないので春編も秋編も
見たのですが有りません。
やっぱりポケット図鑑では無理
ですかな。しかしこの暑いのに
文句も云わず咲いてるいじらしさがたまりません。

鬼百合(オニユリ)
 ウチの家内が贔屓にしてい
る魚屋さんの庭にこっそり入っ
て撮ったものです。午後の2時
の一番暑い頃で、さすがのオニ
ユリさんもグッタリしておりまし
た。しかしなんで鬼なんでしょ
うか?白百合に対して赤くって
黒いイボイボがあるから?

これもユリでしょ?
 隣の鬼百合に対してこちらはまた薄ピンクの愛らしいユリの仲間のようですが。これもクヤシイことにウチの図鑑には載ってないのです悔しいなぁ。どなたか牧野富太郎博士の凄い植物図鑑とかお持ちでしたら教えて下さい。

カンナ
 この花も夏を彩る代表的な花
であります。赤、黄、橙、ピンク、
白と色も豊富ですな。学校の校
庭とか線路脇などによく咲いて
おります。これも鎌倉駅近くの
線路脇で撮ったものです。なぜ
か線路脇が好きだそうです。
鶏頭(ケイトウ)
 この花が咲くともう秋であり
ます。これはまだ咲き切れてい
ないケイトウであります。なにせ
8月の初旬に撮ったのですから
ケイトウ君だって不本意でしょう
な。まだまだこれから一花咲か
せようってぇ時分ですから。

向日葵(ヒマワリ)
 オット忘れちゃいけません!
何てったってこの花が夏の一番人気。まあこんな派手と云うか、賑やかと云うか、明るい花はありませんな。でも、ソフィア・ローレンンの「ひまわり」は悲しかったです。ところで「ついでに俺たちも紹介してくれよ。」とセミとトンボがわたし目の前に現れました。動物はダメ!って云ったんですが。スイマセンです。

     と、まあそんなわけで7月から8月にかけてウチの近所で撮った花を飾ってみました。
      専門家でもない店主の監修によるキネマ堂版の花図鑑ですから何か問題があったら教えて下さいな。
        それではまた、、、。   (01.08.19)
  

  PS Topページで夢二、華宵、虹児の描いた宵待草を取り上げ名作挿絵の特集を組んだので、どうしても本物の
       宵待草を我が「キネマ堂 花図鑑」に入れたくて、探し求め運良く見つけることが出来ました。鎌倉の材木座
       海岸に沿って走る国道138号線と海岸を仕切る金網にすがるようにひっそりと咲いていました。
  
宵待草(ヨイマチグサ)
正しくは待宵草(マツヨイグサ)だそうです。
大正7年竹久夢二の詩「宵待草」がバイオリニスト
多忠亮によって作曲され、セノオ楽譜によって紹介
されると、大衆の心をとらえて流行し、広く愛唱され
るようになりました。セノオ楽譜は正式な植物名の
「待宵草」と改名
して初版を発行しましたが、大正
13年には、夢二の詩に準じて、再び「宵待草」に改
められた。との事であります。
                                                 (01.09.02)
                                                    “鎌倉おもいつ記”第6回へ       

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