前回の“鎌倉おもいつ記”へ 第6回 「錦秋の回春院で長老に癒される」 ご無沙汰いたしました。 もう師走も半ばを過ぎてしまいましたなぁ。
この沢は鎌倉宮(大塔の宮)の先を瑞泉寺へ向かって歩き、鎌倉カントリークラブのテニスコートを過ぎた通玄橋の手前で左に永福寺(ようふくじ)跡方面に向かいます。右手に二階堂川が流れており、これに沿って300mも歩くとこの二階堂川に亀ヶ淵橋がかかっております。この橋を渡り200mも歩くともう獅子舞の沢の入り口であります。
さあ、この入り口からはすぐに沢になっておりまして、上流からの流水で出来た窪みや木の根っこや石ころで実に足場の悪い道を上っ行く事になります。かなりしんどい道のりでありますが、まあ50代半ばのわたくしがそれほど息も切らさず上れるんですからご安心下さい。この沢を300mも上れば夢のような紅葉の真っ只中に身を置くことが出来るのです。どうです簡単でしょう。ところがこの日は紅葉の絶頂期には少々早く、まだ充分に紅葉しておらず右下の写真の通りでありました。
どうやら今年も12月の初旬が見頃のようなのでもみじ狩り計画を却下して、あるところへ行く事にしました。皆様にぜひご紹介したい素晴らしい安らぎの場所があるんですよ。実はわたしだけの秘密の場所です。でも「鎌倉キネマ堂」のお客様にはコッソリ教えちゃいます。
まあこの辺はもう皆様ご存知の所でしょう。半僧坊の恐ろしく急な245段の階段を降り切ると茶店・招寿軒の前に出ますがここを左に折れて200mも行くと建長寺の塔頭の一つ回春院が見えてまいります。ここです。ここなんです。ここがわたしにとっては今生唯一の安らぎの地なのであります。
やさしい山の懐に抱かれたこの回春院はしっとりしていて、おだやかで・・・何と云いましょうか、まあとにかくいい処なんです。素朴な庭の池ではアヒルが遊び、草の生い茂った小川の流れる裏庭では山羊がゆったり草を食んでいたりするのです。ここはこの紅葉の時期もいいのですが草木が茂る春でも夏でもいい処なんです。わたしなんぞは年に2〜3回はやってまいりますな。そしてそれはなぜかと云いますと、この地にわたしよりずっと以前から住んでおられる長老、山羊さまのご尊顔を拝するためでもあります。まあご覧下さい。
長老は何も云ってはくれませんが、その慈愛に溢れる眼差しで見詰められると、もうそれだけでわたしなんぞは現世のわずらわしさを忘れることが出来るのであります。 ←トップページへ戻る |