前回の“鎌倉おもいつ記”へ
  第6回 「錦秋の回春院で長老に癒される」

 ご無沙汰いたしました。 もう師走も半ばを過ぎてしまいましたなぁ。
ところで、今年はなぜか紅葉が例年より綺麗な気がするんですが。わたしだけでありましょうか。
そこで
秋の夕日に 照る山もみじ〜なんて口ずさみながら過ぎゆく錦秋の鎌倉を散策してみました。
 鎌倉在住僅か5年半の半端者のわたくしが勝手に、鎌倉でいちばん紅葉の美しい処と決め込んでいる獅子舞の沢へもみじ狩り、いや、もみじ撮りに行ったのでありまが・・・
 何と思いついたのが11月の三連休の第一日目、23日の事でありました。前日まで降っていた雨も止んで実に穏やかな秋晴れのいい天気ですから鎌倉は何処へ行ったって人の波で大変であります。しかしわたくしが行こうとしている獅子舞の沢はそれほどポピュラーでは有りませんから、まあそう押しくらマンジュウみたいに混んだりはしませんね。それではここでチョイと獅子舞の沢の場所なんぞを簡単にご説明しておきましょうかね。今からでは紅葉には間に合いませんが来年と云うことも有りますから知っておいて絶対に損はありませんょ。


永福寺跡

この沢は鎌倉宮(大塔の宮)の先を瑞泉寺へ向かって歩き、鎌倉カントリークラブのテニスコートを過ぎた通玄橋の手前で左に永福寺(ようふくじ)跡方面に向かいます。右手に二階堂川が流れており、これに沿って300mも歩くとこの二階堂川に亀ヶ淵橋がかかっております。この橋を渡り200mも歩くともう獅子舞の沢の入り口であります。


獅子舞の沢

さあ、この入り口からはすぐに沢になっておりまして、上流からの流水で出来た窪みや木の根っこや石ころで実に足場の悪い道を上っ行く事になります。かなりしんどい道のりでありますが、まあ50代半ばのわたくしがそれほど息も切らさず上れるんですからご安心下さい。この沢を300mも上れば夢のような紅葉の真っ只中に身を置くことが出来るのです。どうです簡単でしょう。ところがこの日は紅葉の絶頂期には少々早く、まだ充分に紅葉しておらず右下の写真の通りでありました。


少々早い獅子舞の紅葉

どうやら今年も12月の初旬が見頃のようなのでもみじ狩り計画を却下して、あるところへ行く事にしました。皆様にぜひご紹介したい素晴らしい安らぎの場所があるんですよ。実はわたしだけの秘密の場所です。でも「鎌倉キネマ堂」のお客様にはコッソリ教えちゃいます。
 さてそこで、この沢を更に300mも上りますと、お馴染み鎌倉アルプス・天園ハイキングコースに突き当たります。このコースを右にとれば先ほどの瑞泉寺に戻ってしまいますから、ここは左に折れて峠の茶屋、鎌倉カントリーゴルフ場、十王岩を超えて建長寺の鎮守・半僧坊へと向かいます。


半僧坊の急な階段

まあこの辺はもう皆様ご存知の所でしょう。半僧坊の恐ろしく急な245段の階段を降り切ると茶店・招寿軒の前に出ますがここを左に折れて200mも行くと建長寺の塔頭の一つ回春院が見えてまいります。ここです。ここなんです。ここがわたしにとっては今生唯一の安らぎの地なのであります。


回春院 山門

庭の池ではアヒルが遊ぶ

やさしい山の懐に抱かれたこの回春院はしっとりしていて、おだやかで・・・何と云いましょうか、まあとにかくいい処なんです。素朴な庭の池ではアヒルが遊び、草の生い茂った小川の流れる裏庭では山羊がゆったり草を食んでいたりするのです。ここはこの紅葉の時期もいいのですが草木が茂る春でも夏でもいい処なんです。わたしなんぞは年に2〜3回はやってまいりますな。そしてそれはなぜかと云いますと、この地にわたしよりずっと以前から住んでおられる長老、山羊さまのご尊顔を拝するためでもあります。まあご覧下さい。
 この尊厳に満ち且つ、優しく穏やかなお顔を。どうです。もう何もかも打ち明けたくなるのですよ。


自愛に溢れた長老

長老は何も云ってはくれませんが、その慈愛に溢れる眼差しで見詰められると、もうそれだけでわたしなんぞは現世のわずらわしさを忘れることが出来るのであります。
この日もこうして、長老の慈愛を全身に受け、荒ぶる心を癒して、感謝をしつつ別れを告げ、わたしは元気に家路に着いたのであります。
 如何でしたかな。ぜひ皆さんも一度、長老にお会いに行かれることをお薦めします。

 ところで、チョットいい道をお教えしましょう。
長老のおられる裏庭右手の杉林を300mも歩くと、鶴ヶ岡八幡宮の裏手にあたる、頼朝公の墓のある西御門(にしみかど)一体が見渡せる高台に出ますよ。そこからは八幡宮方面又は鎌倉宮、金沢街道方面へと自在にコースが採れるのであります。 まあよろしかったら長老にお会いに行かれてこのコースをお試しになられては如何でしょうか。 それでは今回はこれで失礼します。 (01.12.16)

                                           “鎌倉おもいつ記”第7回へ
←トップページへ戻る